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「ーー悲しいが、それは否定できん。最悪だったのは戦国時代だった。 血の気の多さと性欲は比例関係にあるらしくてーーってそれはいい。来るのは問題の戦国時代の奴だ」
そこで礼門の顔が一層暗くなる。戦国時代と言われても、有名人だらけだが。
「ともかく夜、侑平君の部屋で過ごすから、頼んだぞ」
「は、はあ」
だから誰が?と侑平は頷きつつも不安で一杯になっていた。
「怜明、酒が足りんぞ」
「悪いね~、俺まで。でもこの魔王のお誘い、断れなくてさ~」
夜中、訪れたのは予想に反して一人ではなかった。しかもセクハラではなく、酒盛りが始まってしまう。これに、侑平は呆気に取られていた。
「ええっと」
「ーーいつもは、こっちだけなんだけどな」
礼門は左側に座る、あまりにも有名な人を指差して溜め息だ。その人は魔王と怖れられた、織田信長。
「たまには良かろう。お前はこれだけ時代が過ぎてもガードが固いまま。面白くないので奇策を仕掛けてみたんだよ。それに、弟子が出来たというし。賑やかな方がよかろう」
信長は、あの時代にはなかったビールをぐびぐび飲みながら言う。侑平は目眩がしてきた。
「死んだらオッケーとか、そんなわけねーよ。むしろ現代になって毎年のように現れるって、何の嫌がらせだ?」
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