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礼門は普段は使わない蓮っ葉な言い方で返す。侑平はそれにも困惑だ。総てがカオス!
「仕方なかろう。ゲームのせいだ。あと、戦国ブームのせいだな。まぁ、若い女の子にキャーキャー言われるのは悪くない。こうして、現世にも現れ易くなったしな」
ああ、妖怪ブームだけでなく、そのブームも影響するんですねと、侑平は震える礼門が気の毒だ。にしても信長、礼門を狙う割りに、女子がいいのか。両刀使いなのかと、侑平は複雑だ。戦国武将って、やっぱり、お付きの方々とそういう関係だったんですね。
「で?」
その礼門は矛先を右の男に変える。隻眼の、むさいおっさんだ。彼は山本勘助。
「俺はほら、数年前に大河ドラマになったから」
にかっと笑う勘助だ。なるほど、こちらも認知度が上がって出てこれるようになったと。大河ドラマも予想外のところで貢献している。
「ーー」
これが、礼門を毎年憂鬱にする理由だった。毎年お盆の時期、戦国武将の襲撃を受ける。今回は布団に潜り込まれるという嫌がらせは回避できたものの、酒盛りに付き合わされることとなった、という展開。
「ま、これもお前が不老不死のせいと諦めな!この魔王様、しつこい性格みたいだしな」
がははっと笑い、勘助は他人事だ。完全に楽しんでいる。しかも初めて口にしたビールにご満悦だった。
「そういうことだ。怜明、俺はお前を抱くまで、付き纏うからな!いや、抱いた後でも付き纏う!そのためだけに、俺は毎年お盆を待ってるんだ!!やはり、毎年楽しみで仕方ないよ。待つのは面倒だけど、その方が楽しみが増えるというものだ!」
酔っ払った信長、高らかに宣言。そして呵々大笑。ちなみに怜明とは、礼門が戦国で使っていた名前だ。
「礼門さん、いや、怜明さん。ドンマイ」
項垂れる礼門こと怜明に、侑平が言えるのはそれだけだった。
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