終曲と序曲

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ねぇ、勇者って何だと思う? 友人が自分へ向け語りかけてくる、それはまるで心のない機械の質問のようだ 「んだよいきなり……そりゃあ、まぁ?『主人公』ってやつじゃねぇか?」 なら死って何だと思う? 俺の答えに眉ひとつ動かさずもう一度別の質問をして来る。 「それは生きとし生きるもの全てに平等に贈られる救済であり絶望なんじゃねぇか?」 なら生きている意味ってなんだと思う? 次の質問が投げかけられたが俺がそれに応えることは無かった。 何故なら━━━━ 「危ない!!」 急に元の様子に戻った友人が咄嗟に俺を助けようと何か行動を起こそうとするが 「……え?」 ━━━間に合うこと無く俺はこの世からいなくなったからだ。 死ぬ前には走馬灯が見える、ということをよく言うが俺には何も見えなかった。 それほど俺は空っぽだったのだろう。 もう声にできない言葉を必死に何度も何度も何度も質問へ答えを叫び続けた。 しかし、その叫びは聞こえること無く虚空へと消えた。 この時点で音は潰えたのだ。 ━━━━ほんの前奏が。
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