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しばらく雪の降り積もる中しばらく歩いていると見覚えのあるような作りの家が立ち並ぶ村という言葉がふさわしい所へ出た。
「えぇと、ここは?」
「お前、記憶でも失くしたか?」
「は、はい、記憶が無いです」
ないのはこの子の記憶だけどな。
「なんてことだ、何故こんなことに……」
「私は何をしていたのでしょうか?」
「旅立ちの儀だ、さっきの雪原にスノウウルフってのがいる。そいつを狩るのが旅立ちの儀だ」
「ならもう一度行ってきます。記憶の亡くなる前の私がそうしようとしてできなかったのなら今の私がやるべきだと思います」
「だが!」
「お願いします。必ず成功させます」
「チッ、一度だけだ!これで失敗したらもう受けさせん!」
「ありがとうございます!」
そう言うと俺は村を一目散に飛び出し先程の雪原へと飛び出していく。
ここでやらなきゃ男がすたるってな!この体の子が出来なかったことを成し遂げてやるんだ!
こうしてスノウウルフ討伐のための旅が始まった。
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「本当に行かせてよかったのか?」
「ふん、この程度の事でくたばられては困る。何せ俺が育てた子だからな」
大男はそう言うと少しソワソワとしながら走り去った少女を見送った。
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