桜舞うあの日

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桜舞うあの日

俺が住んでいる町に大きな桜の木がある。 それは町の中央の緑が生い茂る山に堂々と生えている。凛としていて、その中にも大地の自然...どこか野性的なものをひめている。また、桜の花びらがちると、この世界ではないような、そんな幻想的な景色が広がる。 ここはとても魅力的な桜の名所であるのに、この木のことを知っているのは俺と親友の瑛太だけだ。親友の瑛太とは産まれながらの幼なじみで、小さい頃に女手一つで育ててきた母親が病気で死んでからは、俺の母さんは瑛太のことを息子のように接していた。その当時はちょっと瑛太にお母さんを取られたみたいで嫉妬してて...まぁ、今となっちゃいい思い出だけどさ。 だけど、その瑛太も3年前、高一の入学式の日、突然として姿を消した。 俺はかなりショックだった。当然だ、兄弟みたいなもんだからな。 LINEも交換していたのだが、いくらメッセージを送信したところで返信はこず、音信不通のままだ。 あの日に戻れたら。 あいつに...瑛太に会えたら。 そんなことを思う日々が続いた。 俺はもう大学1年生になる。 今日はその大学の入学式だ。 暖かい春風が俺の横を通り過ぎる。どこか懐かしさと虚しさを感じる。 その時僕はふと、思い出した。 桜舞うあの日...そう、瑛太が姿を消した3年前の入学式のことを、、、 俺は入学式が終わったあと、なにかに操られたかのように、おもむろにあの場所へ歩き始めた。
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