第01章 その男、ララバイにつき

1/5
95人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ

第01章 その男、ララバイにつき

今日も『銃声』と『差出人不明の叫び声』がどこからともなく響きわたる。 なんて清々しい朝なんだ。 ここはシンシティ。罪の街。 かつて不夜城として、世界中の羨望を集めたアジアNo.1の歓楽街だ。 だが、強力すぎる羨望と欲望のあまり、この街は滅んだとされている。 そんなこと、教科書にも載っているから、子供だって知っている。 しかし、実態を知る者はごく(わず)かだ。 かつて新宿や歌舞伎町と呼ばれたエリアは、メルトダウンを起こした原子力発電所よりも厳重に管理されている。 地図から葬り去られた禁断の地。 そう表現する方が適切だろうか。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!