少年、君は

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少年、君は

少年、君は、私を恨んでいるか。 島の人間を、憎んでいるか。 島の外れの海岸、彼を想い此処へ足を運ぶ。足元に揺れる小さな蒲公英の花か、彼のように儚く、風に揺れている。 線香の香りと、不思議と心が安定していくような心地よい低音が紡ぐ、魂を導く言葉。合掌し、彼女達に供養の念を送り、ただただ安らかに、眠って欲しいと願う。 お膳の前に腰を下ろす人達ひとりひとりに声をかけビールを注ぐ。皆一様に頭を下げ、私に礼を言いながら、グラスを傾けてくれる。 「先生、俺が酌しますから、気を遣わんでください」 豪快な笑い声に、こちらもつられて笑みを零す。注がれていくビールに、時の流れの早さを感じた。二年前、同じくこの場所で行われた通夜では、当然ながら誰ひとりとして笑みを零すことができなかった。 こうして再び島に笑顔を戻してくれた時の流れに心の中で感謝を告げる。仏壇を彩る向日葵の花の中、三つの写真の真ん中、向日葵のような笑顔の写る写真を手に取り、頬を緩ませた。     
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