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横に座る真理乃をちらっと見て、
「今日はとんかつ…。かつ丼にも出来るけど」
真理乃は眉を寄せた。
「今日はウスターソースでとんかつ気分」
「とんかつソースじゃなくて」
車は坂を上り始める。
「とんかつソースって甘いのよね…」
悠二は無言で何度か頷く。
「分かるよ。あの甘さが欲しくない時ってあるな…」
「そうなのよ」
坂の上のマンションのガレージの中に車を入れると、ゆっくりとシャッターは閉まって行く。
二人は車を降り、地下のガレージからエレベーターで、部屋のある階まで行く。
「今日最初から聴いてた」
「当たり前だろ」
「嘘、嘘…。また途中からでしょ」
小声で話しながらエレベーターを降り、部屋のドアを開けて明かりをつける。
すると真理乃がその明かりを消して、悠二にキスをした。
悠二はキスをしながらまた明かりをつけるが、それをまた真理乃が消す。
そして真っ暗な玄関で二人は抱き合った。
悠二は玄関の鍵を閉めて、明かりをつけた。
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