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住職や妻が寺にいる場合、夕方に寺の敷地内を見回りを必ず行っていた。しかしその時は寺に居たのは三年前に骨折して足腰の効かなくなった喜寿を過ぎた住職の母親だけだった。 つまり広海君が遭難した時、寺には頼れになる大人は居なかった。これも広海君の遭難が最悪の結果に繋がった要因の一つだったのだろう。
痛ましい話ではあるが雪国では起こり得ることであった。しかし、私は何だか気になることがあり、この記事を何度か読み返した
記事に書かれていることで、どうしても違和感が拭えないのは広海君が立ったままの姿で発見されたことだ。
吹雪に遭った時、とにかく風を避けれる場所に避難するのが普通だ。吹雪で完全に視界を失うホワイトアウトの中で力尽きたのなら、立ったままの姿勢にはならない。
またあまりの風雪の強さに歩くことが出来なかったのなら、風を遮る物に隠れて屈むのではないか、墓地には風を遮る物は沢山ある。どう考えても、わざわざ風を受けやすい場所で風を全身に受けるような姿勢でいることは不自然に思えた。
更に似たような話を何処かで聞いたことがあったのだ。
数年前の暮れのこと、私は大掃除で年手付かずのままになっていた物置を整理することにした。
物置には使わない物が押し込まれたダンボールや、無造作に束ねられた本や雑誌が無秩序に放り込まれて、山積みになっていた。
(今年こそは思いきって整理をして、物置をスッキリさせて使える状態にするんだ。)
そんな目標を胸に私は整理を始めたのだ。
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