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連絡を受けた父親も、吹雪で職場から動くことが出来なかったため、集落の世話役に連絡して相談した。しかし世話役もさすがに猛吹雪のなかでは探すこともできなかったので、天候が回復してから捜索することで話が決まった。
山中君の兄が連絡してから二時間以上して、ようやく猛吹雪が少し治まったため
両親と世話役と近隣の人で広海君を探し始めることが出来た。 しかし捜索は最悪の結果となった。
集落の外れにある寺の墓地で変わり果てた広海君が発見されたのだ。広海君は立ったままの姿勢で凍りついていた。
広海君の遺体が発見された寺は集落のほとんどの世帯が檀家となっていた寺だった。
しかしながら山間部の小さな集落であったため、檀家数はたかが知れていて、寺から得られる収入では住職一家の家計は成り立たなかった。
そのため住職は農協の仕事をしながらの兼業だったし、妻も日中は少し離れた街のスーパーマーケットでパートをしていた。
住職や妻が寺にいる場合、夕方に寺の敷地内を見回りを必ず行っていた。しかしその時は寺に居たのは三年前に骨折して足腰の効かなくなった喜寿を過ぎた住職の母親だけだった。 つまり広海君が遭難した時、寺には頼れになる大人は居なかった。これも広海君の遭難が最悪の結果に繋がった要因の一つだったのだろう。
痛ましい話ではあるが雪国では起こり得ることであった。しかし、私は何だか気になることがあり、この記事を何度か読み返した
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