2.カッコいい独身エリートと食事した!

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「死んだ父は、うまいものは自分の稼いだ金で食べる! といっていました。そう言って毎日仕事の帰りに居酒屋でお酒を飲んでいました。それを私と母がとがめると『てめえが働いた金で好きな酒を飲んでなにが悪い、会社の金や接待でただ酒を飲むのとは訳が違う』と怒っていました。今は父の言っていたことがよく分かります」 「お父さんは偉いね。それじゃあ、今日の焼肉はおいしくて楽しかったということでよかった」 「ごちそうさまでした」 お勘定を済ませると私はそのまま歩いて帰った。アパートはここから徒歩10分くらいのところにある。 岸辺さんは家まで送ろうかと言ってくれたけど、まだ早い時間なので大丈夫と言って遠慮した。みすぼらしい古いアパートを見られるのがいやだったからでもある。 家についてしばらく余韻に浸っている。やはり緊張して話していたみたいで疲れた。でも心地よい疲労。あのカッコいい岸辺さんと二人で食事しながらお話ができた。とっても楽しかった。不思議なことにその間、傷はおとなしくしていた。 寝る前にブログに今日の焼肉の写真をUpして書き込みもする。 [社交辞令と思っていたけど、カッコいい人に誘われて焼肉を食べに行った。話が弾んで楽しかった! その間は左手首の傷は何ともなかった] コメント欄 [よかったじゃない、彼はあなたに気があるんじゃない! でないと誘わない] [すぐに食事に誘う男には要注意!遊ばれないように気を付けて!] [楽しければいいじゃない。これからも誘われたら断らない方が良いよ!]
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