3.企画開発室に異動になった!

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理由は数日後に分かった。総務部長に呼ばれた。直接、部長に呼ばれることなどめったにないから、何か不都合でもあったのかと、おそるおそる席まで行った。 「まあ、掛けて」 「何かありましたか?」 「横山さんはパソコンはできるの?」 「はい、前の業務室で社内のシステムへの入力をしていましたし、総務部でも入力のお手伝いしています。それからWord、Excel、Power Pointの基本的なことくらいはなんとかできます」 「そうか、それならよかった。同じフロアーの企画開発室長から、相談があってね。プロジェクト関係が忙しくて、アシスタントがほしいが、会社に慣れている人でパソコンができるという横山さんをまわしてもらえないかという話があってね。ちょうど今月末でこの部へ来て1年になるから、契約の更新の時期だったので、こちらは新しい人でも構わないので、移ってもらうことにした。それでいいね」 「はい。私でいいと言われるのなら、かまいません」 「企画開発室に室長の右腕のプロジェクトマネージャーがいて、そのアシスタントをしてもらうと言っていた。結構ヤリ手みたいだから、少し大変かもしれないけど、よろしく頼みます。そのマネージャーを知っている?」 「多分、岸辺さんだと思います。この前、コピー機の紙詰まりを直してあげたことがあります。あとからパソコンはできるかと聞かれました」 「そうか、それでか、そういうことってよくある。会議で気の利いたことをいうやつを引き抜いてくることもあるから、まあ、これもご縁だ、がんばってくれ。派遣元の会社へは私の方から手続きをしておくから」 「分かりました。よろしくお願いします」 1週間後に親会社の担当者が契約の更新や配置部門の変更についての書類を持ってきて、異動の手続きは終わった。来週からカッコいい岸辺さんの元で働ける。仕事がうまくできるか心配だけど、精一杯頑張るだけ。 ブログにはこう書き込んだ。 [カッコいい人の部下に呼び寄せられた。これってどういうことだろう?] コメント欄 [下心があるかもしれないから、気を付けたほうがいい。カッコいい男には特に注意すべし!] [折角のチャンス、仕事をしっかりやって、嫌われないようにしないと] [あなたに気があるんじゃない。ここはじっくり様子を見た方がいい]
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