4.カッコいい独身エリートの部下になった!

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月曜日、今日から企画開発室勤務。初日から遅刻しないように、いつもより早めに、アパートを出たので、8時20分にはフロアーに着いた。企画開発室は総務部とは反対側のフロアーの端にある。 企画開発室の中に入るのは初めてだった。4つの島(グループ)があるみたい。きょろきょろしていると一番端の小さな島に座っている岸辺さんが手招きしている。 「おはようございます。今日からお世話になります。よろしくお願いします」 「こちらこそ、よろしく。来てもらえてよかった」 「指名していただいたみたいですが、お役に立てますか?」 「横山さんなら大丈夫だと思ったから。ただ、指名したのは内緒にしておいて、何かとまずいから」 「分かりました」 岸辺さんのグループの席は企画開発室の一番端にあり、2人に指示が出しやすいように、岸辺さんの右前が部下の吉本さん、左前が私の席とコの字型になっていた。私専用のパソコンも1台、机の上に用意されていた。 そうこうしていると、吉本さんが出社して席に着いた。入社2年目とか、おそらく私と同い年のはず。 「吉本君、こちらが先週話していた横山さん、今日から僕のアシスタントに来てもらった」 「よろしくお願いします」 「よろしく、総務部にいたのかな、見かけたことがあるけど」 「そうです。私は派遣社員で総務部にいました」 「吉本君に言っておくけど、僕のアシスタントに来てもらったので、横山さんに仕事を頼みたいときは僕を通してくれ、いいね。横山さんもいいね。吉本君の仕事をするときは僕の許可を得てくれ」 岸辺さんは私に気を使ってくれている。岸辺さんの前では吉本さんと対等な立場にしておいてくれる。気遣いのできる人だ。 これで、吉本さんに仕事を頼まれることなく、岸辺さんの仕事に専念できる。総務部では何人もの人の小間使いだったけど、それが仕事だった。 9時になったので、岸辺さんはまず私を室長に紹介してくれた。 「室長、総務部から来てくれた横山さんです」 「室長の竹本です。岸辺君のアシスタントをよろしくお願いします」 「できるだけがんばります。よろしくお願いします」 室長は私を見て不思議そうな顔をしていた。きっとなぜ岸辺さんが私を指名したのだろうと考えていたのだと思う。
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