4.カッコいい独身エリートの部下になった!

5/6
254人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
はじめに3人が改めて自己紹介をした。私は24歳で、高校卒業後に人材派遣会社に就職して、この会社が3つ目の会社だとか、3年前にこの会社へ来て、業務室、総務部にいたことなどを話した。 吉本さんは入社2年で24歳、独身。有名大学の出身で、今日は学生時代から付き合っている彼女の誕生日で、このあと誕生祝いを予定しているとか。私に関心がないので、あまり話しかけない。そして5時40分くらいに次の約束のために退席した。 「今日はまだ月曜日だから6時半には終わりにしよう。それまでならいいね」 「6時半なら、総務部にいたらまだ仕事をしている時間です」 「残業代が少なくなるかもしれないけど悪いね」 「心配ご無用です。それよりもチャンと仕事をさせてもらえて嬉しいです。私専用のパソコンまで用意してもらってありがとうございます」 「でもコピーも頼むよ」 「もちろんです」 「会議録の出来は上々だよ、僕が作るよりもずっと正確だし、これなら安心して任せられる。メールもできる?」 「できますが」 「会議の日程調整に随分時間と手数がかかって大変なので今度調整を頼みます。要領を教えるから」 「やってみます」 岸辺さんと二人きりでお話ができて嬉しい。私は生ビールのお代わりをした。少し酔ったみたいで、遠慮がなくなって、聞きたいこと、話したいことが次々浮かんでくる。 「岸辺さんはお付き合いしている人はいないんですか?」 「残念だけどいない。本社へ転勤になってしばらくして取引のある会社の女性と付き合ったことがあるけど別れた。それからずっと彼女なし」 「総務部に女子の派遣社員が私のほかに二人いるのですが、岸辺さんのことを知っていて、カッコいい独身のエリートの部下になるんだ!と羨ましがられました」 「僕がカッコいい?」 「はい、スーツもカッコいいし、ネクタイもセンスがいいし、それにそのカバンも、ブランドでしょう」 「特にブランドに拘っているわけじゃないけど、良いものを選んではいる。その方が飽きも来ないし、長持ちすることが分かっているから。このスーツも4年前のものだよ。それに、僕はエリートなんかじゃない、地方大学出身で、吉本君のような有名大学を出ているわけでもない。仕事も精一杯で何とかこなしているだけ」
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!