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「女子は見る目がシビヤーですから。出身大学じゃなくて仕事ができるかを見ているんです。将来性を見ているんです」
「はたから見ていてそんなこと分かるもんなのかね」
「分かります。仕事ができる人は相手の気持ちや立場が分かってうまく仕事をまわしています。それに他人への心遣いができます」
「そういうもんかね。僕は強引に進めたいといつも思っているけどなかなかうまくいかなくて、調整ばかりしている」
「岸辺さんは仕事の進め方が上手だと思います。会議に出て分かりました。室長も一目置いているのではないですか?」
「入社以来の長い付き合いなので信頼はされていると思っているけどね」
仕事の話などをしていたらすぐに6時半になった。岸辺さんの話をもっと聞きたかったけど、今日はここまで。岸辺さんがだらだらと飲むのは嫌いだと言って切り上げるので仕方がない。
帰る方向が同じなので一緒に帰る。ほろ酔い気分で電車に乗ったけど、丁度帰りのラッシュで車内ではもうとても話などできない。岸辺さんは、目で合図して二子新地で降りて行った。ごちそうさまでした。
1日目は無事に終わった。カッコいい岸辺さんとこれから仕事ができると思うと嬉しくなる。岸辺さんはチョットせっかちだけど、私にも心遣いをしてくれて、いい人だ。
仕事も室長の右腕と言われていたように、そつなくこなしている。ついて行くのは大変そうだけど、私でも何とか務まりそうなので安心した。
ブログにはこう書き込んだ。
[カッコいい人の部下になって初仕事をした。何とか務まりそう! 歓迎会をしてもらってお話しした。35歳、独身、彼女なし!]
コメント欄
[しっかり仕事してチャンスをものにしなくちゃ!]
[上手くおだてて仕事をさせるつもりかもしれないから気を付けて!]
[あまり期待しないで淡々と仕事をこなすべし!]
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