5.はじめて一緒に外勤をした!

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私が岸辺さんのアシスタントに来てから1か月ほどたち、仕事がスムースにこなせるようになってきた。プロジェクトの会議録は必ずその日のうちに仕上げられる。岸辺さんは当日か翌日にそれ持ってメンバーを回って確認している。 5つのプロジェクトの関係者の会議の日程調整もするようになっているけど、これは相手のいることなので、結構手数がかかる。ただ、根気よくやればそのうちに整うので、あとは人数に合わせて会議室を確保しておけばいい。 岸辺さんはこれまでよりも各担当者との調整や根回しに専念できているようだ。また時間の余裕もできたみたいで、新しい企画について室長と相談しているのを見かけるようになった。 私が仕事を覚えたので、ここのところ、仕事はほとんど定時に終わるようになっている。ただ、残業が無くなったのは少し痛い。でも岸辺さんが喜んでくれているし、コピーやお茶くみよりも、仕事にやりがいがあるので、これでいいと思っている。 「残業が無くなって給料が少なくなって申し訳ないね」 「毎日仕事が楽しいので構いません。コピーだとお手当をいただかないと遅くまでやれませんから」 「それもそうだけど」 「いろいろな仕事をさせてもらえて嬉しいです」 「明日、大学の先生のところへ研究委託の打合せに行くけど、一緒について来てくれないか。代わりに行ってもらうこともあるから先生に紹介しておきたい」 「分かりました。場所はどこですか?」 「横浜市の日吉で少し遠いけど、アポは3時だから、午後1時過ぎに出かけよう。都内でないので日帰り出張扱いになるから手当が少し出るかな」 「ありがとうございます」 「先生との打合せメモの作成と帰ってからの出張旅費の手続きをお願いしたい」 「分かりました」 研究所だけでは手が回らないので、プロジェクトの準メンバーの位置づけで、新しい素材の開発を大学に委託しているという。 私立の大学は学生さんがいて人手があるので結果は必ず出してくれるから頼りになると言っていた。でも確実な成果を得るためには事前打合せとフォローが欠かせないから、やはり四半期ごとに打合せが必要と言う。
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