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初めて会った時、タエコは和服を着ていた。
髪もきれいに結い上げ、大物演歌歌手のような出で立ちだ。71才だというがかなり若く見える。
短い挨拶を交わし、
「早速ですが」と話を切り出した。
タエコは語る。
夫の暴力に悩んでいました。
娘と息子がいます。
暴力は息子が産まれた頃から始まりました。
夫は元は私の高校の同級生と結婚していました。娘さんも1人います。
その娘さんが3才にならないうちに私は彼女から夫を略奪したのです。友達の夫を奪うほど、当初は彼に惹かれていました。
略奪婚っていうんですか?それと同時にできちゃった婚でもあります。
長女を産み、3年後長男を産みました。
夫はヤキモチがひどい人で、朝から晩まで私を監視し、下着の色さえ自由にはさせてもらえない生活でした。それに嫌気がさし、浮気をするようになりました。
夫だって同じです。外に何人も女がいたし、私の友達にまで手をつける始末でした。
そんな生活に疲れて娘が12才、息子が9才の頃に子どもたちを置いて家出をしました。
どうしても耐えられませんでした。
夫の暴力から逃げたかったのが1番ですが、自分を取り囲む環境全てから逃げたかった。
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