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子どもを置いて出て行ったのは、まさか子どもには暴力をふるわないだろうし私が家を出たあとは実家の父母が面倒をみてくれるだろうと思ったからですね。
あまり深くは考えていなかったかもしれません。
とにかく逃げたかった。
それに子どもを連れて出て行けば住む場所を探すにも仕事探しにも差し支えがある。
不自由な生活をさせるぐらいなら元の環境に置いとくほうが良いと思ったんです。
そう語るタエコは子どもを置いて失踪した話をしているとは思えないほどずっと笑顔だった。
「その後、どうなりましたか?」と問うと
父母が面倒を見てくれると思っていたのにそれは当てがはずれました。住む場所と仕事が決まったら子どもを迎えに行こうと決めていたのですが、
夫はひとりで子どもを育てる事ができなくて夫の実家がある千葉へ子どもたちを連れて行きました。
それを知ったのは失踪してから半年ぐらい経った頃でしたね。
自分の子どもの面倒すら見れない父親だったのかと残念でしたし、そんな夫に任せておくぐらいなら義父母の元にいたほうが幸せかもしれないとその時は思いました。
でもいつか子どもたちを迎えに行こうという気持ちは変わらなかったので必死で働きました。
仕事はきつかったけど、開放感っていうんですかね。そっちのほうが大きかったです。
だから仕事を頑張りました。慌てて迎えにいかなくても大丈夫だと思ったんですよ、義父母がいるなら。
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