1章 私のご主人

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ガクブルガクブル 私、佐野美穂子(さのみほこ)旧姓相葉(あいば) 私はクローゼットに今日も震えながらある人を待ってます。 毎日お部屋の掃除に来る女性数名。 沢山あるお部屋はピカピカとしてます。 そんな毎日磨かなくても。 ご飯もとても庶民的でなく、「あらやだ!オサレね」なんて言いたくなる素晴らしい見た目と味わい。 誰も居なくなってからコソッとリビングで食べる私。 前までは朝ウィダー昼ウィダー夜ウィダーでした。 台所言ったら煩い親に出くわすしますからね。 何でそんなコソ泥みたいにって? いや、私人間恐怖症の根っからのニートな者で。 悪いかぁ? そんな私が何故こんな億ションに住めてるかと言うと旦那様のお陰な訳で。 断じて私が「住ませろ~!結婚しろー!」なんて言った訳じゃないぞ! だって、分かってるし、私が糞の金食いだって。 そうです。ウンコ製造機です!二酸化炭素製造機です! なのに、何故かこんな至れり尽くせりの生活で。 旦那様は私が怖がらない様にシェフや家政婦さんに配慮する様言いつけてるのか私に何か言ってくる事もない。 まるで、居ないものとされてる。 普通ならおかしいのだろうが、それが私には心地いい。 でも、やはり周りでバタバタされていると仕事なのは分かってるが、何も出来ない自分からしたら凄い存在の人達に見えて自分が何て最低な人間だろうと泣きたくなる。 だから、今では寝室のクローゼットが私の隠れ家になっている。 そんな異質な事をしているにも関わらず彼女や彼らは皆何もしてこない。言ってこない。 絶対キモがられてるに違いない。 もう、ずっとこのまま時よ止まれ! あと少しであの人が帰ってくる。 また、私の心の臓が大暴れする時間が来ちゃう。 お願いお願い。帰ってこないで! 社長でしょ?CEOだっけか? 何でこんな定時でいつも………… 今日は急に出張で…とか暫く単身赴任だ。とかならないかなぁ。 「美穂子ぉ!帰ったよ~」 バタバタと部屋の外から悪魔のレクイエムならぬCEO様のレクイエム。 やっぱり今日も定時。 お前の会社は暇なのか? バターン!!! 部屋のドアから長ーーーい足の旦那様はクローゼットまでなんて数歩ですもんね。そうですもんね。 震える私を抱えアハアハ笑いながらクルクル回る。奴は私を縫いぐるみの様に抱えて頬ずりからのキッスぅ! やめて!心の臓が心の臓がはぁぁ!
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