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「確認しました。確かに桐山タクヤさんのマイプラが搭載されたスマートフォンです」
神保は手元のタブレット端末をカスミに向けた。
<表示された情報について>
「そこに入っていったスマホ、壊されるんですよね。止められないんですか?」
カスミはさっきためらった言葉を再び神保にかけた。
「回収するのが決まりですので。ここに署名と住民カードのタッチをお願いします」
神保は画面の下のほうにある署名欄を指して、紛失防止用の紐のついた電子ペンを渡した。
「マイプラがいるんですよね。スマホにロックかかっててもその機械を通せば、X線か何かで見えるんですよね?」
「法令に基づきスマートフォン端末に含まれる確認をいたしましたが、それが何かはお知らせできないことになっています」
「そのゴーグルをかければ見えるのなら、貸してください、見たいです」
「すみませんが、規則により〈複製個体情報取扱責任者〉以外が確認用のスキャナーに触れることはできません」
「だったら、教えてください。これ、兄のスマホで、兄に聞きたいことがあったんです」
「いくらスキャナーでもそこまでは……」
そう神保は言いかけたところで、カスミの探ってくるような目つきに隠し通せなくなりそうなうにゃうにゃうにゃ「……見えません」と答えた。
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