初稿

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「お前らは家を支えるためのものだ。あんなに楽しそうに、家になるって言ってたのに、なんで……釘バットなんかになってんだよ……」 崩れ落ちるように膝をつく永治。 「それつくったの、永治くんだよね……?」 姉は釘の声が聞こえないので永治がひとりで内省してるようにしか見えなかった。 それから姉は涙を流す。でもクスクスと笑っていた。 「何」 聞くも、姉は首を振るだけ。 「姉さんは釘じゃないから、ちゃんと伝えてくれないと分からない」 釘じゃないから……のところで露骨に怪訝そうな顔をした後、姉は答えた。 「さっきのバット、への説教……? の仕方がね。なんかお父さんの言い方にそっくりだった」 「……言われたのか」 「結婚する!って言った時にね」 「永治くん、いい家をつくれる人になれるよ」 「俺は大工じゃない」 「言葉通りにとらえるんじゃないの」 へへへ、とふたりで笑いあってたら。懐中電灯の光。光を目で追うと、その先に居るのは警察だ。 どうやら先程智世に声をかけた人が「釘バット持った不審な男がいる」と通報してくれたらしい。 「大丈夫です!」 智世が慌てて警官に答える。 「「家族なんで!」」 そのあわさった声は、永治と姉の声だけじゃなく、釘たちの声も混ざっていた。
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