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*マジック No.14*
「雄飛、私の事わかる?」
精一杯の笑顔で
「ふふ、わかるよ。みな実。
ごめんな。大丈夫だから、あんまり近寄るな」
そう言って目を瞑ってしまった。
「雄飛、ダメダメ、少しだけ起きてポカリ飲んで」
「んー……いらない……」
無理に布団を剥いで背中を押して座らせようとした
「頼むから力仕事するなって…赤ちゃん出てくるよ…」
意識が何処かへ行ってしまいそうなか弱い声だけど私と赤ちゃんの事は心配してくれる。
「うん。分かってる。気をつけてるよ。私の事はいいから、お願いだからポカリ飲んで。」
背中を押して、やっと雄飛を座らせた。
ストローを雄飛の口に入れて「飲んで」と背中を摩るとゴクンと一度だけ喉が動いた。
もう少しと、背中をもう一度摩るとゴクンとふた口。
もう少し飲んで欲しいけど取り敢えず安心。
雄飛を寝かせて布団を掛けた。
雄飛の寝息が聞こえたから部屋から出ようとすると
うわ言のように
「みな実、お腹張ってない…ここにいてて…」
部屋から出れなくなってしまった。
近寄るなとか、ここにいてとか。
心配で離れられないじゃない…。
雄飛が寝てるベットに突っ伏して私も少しうとうととしたみたいだ。
気が付くと雨戸の隙間から光がさしている。
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