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*マジック No.16*
クリニックまで車で10分ほどの所。
細心の注意を払って運転し.クリニックの駐車場に車を止めた。
歩けるかな?助手席のドアを開けると、寒そうに背中を丸めた雄飛。
いつもは大きく力強く見える背中が弱っているせいか、飛んでいきそうなくらい小さい。
受け付けをして問診票に全て書き込み熱を伝えると
処置室のベットを使っていいと言って下さったのに自分より大変な人がいるかもしれんからいいよと、頑なに拒むので待合室で待つ事にした。
少ししてから名前を呼ばれたので診察室に一緒に入って行った。
いつもお世話になってるドクター。
普段は殆ど私がお世話になる事が多く雄飛は数年に一度。後は予防接種の時くらいしかクリニックには来ない。
「おや、今日は雄飛さん?熱高いね」
と言いながら次々に診察をこなすドクター。
どうやら雄飛は風邪ではなく、疲労のようだ。
熱が高い事や朝食も食べていない事で点滴処置をすることになった。
処置室に雄飛を置いて出ようとすると
「私は立ってでも点滴受けれるんで妻を寝かせてやってもらえませんか?こう見えても妊娠中でしてすぐにお腹が張るんです」
もー、何言ってるのか…。
月数の割にお腹が小さいので上着を着ていると気が付かない人もいる。けど、今はそんな事より自分の治療に専念して欲しいと思いながら
綺麗な看護師さんに「すみません。大丈夫ですから」と頭を下げると綺麗な笑顔で
「存じておりますよ」
と微笑んで雄飛の腕に針を刺して点滴を始めた。
「奥様も何かありましたらすぐお声掛けて下さいね」と天使のような笑顔だ。
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