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「あなたが彼の姿を発見したとき、彼を襲った凶器みたいなものは近くにありませんでしたか?」
いくらか気分が落ち着いたらしい莉子は首を振った。
「私は部屋に入ってすぐに気を失ったらしくて、中のものには何も手を付けていません。なので、今無いのなら、その時も無かったと思います」
「そうですか」
刑事は言った。
窓にはカーテンが引かれ、外からの目撃者は期待できない。逆に周りにも高層ビルが立ち並んでいるので、凶器を窓から処分するといったこともできそうになかった。
「私はあなたが彼を殺したのだと確信しています」
部屋の中を動き回る鑑識課の署員たちを見ながら刑事が言った。
「私?」
莉子は驚いて刑事を見た。
「あなたが何を使ってどのように彼を殺したか、私の考えを言います。それが合っていたら、罪を認め、真実を話してくれますか?」
刑事は優しく言った。
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