第1章

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「あの…ごめんなさい」 今度は何故か謝罪の言葉が理沙から飛んでくる。 「なにが?」 智が反応すると、まるで先ほどのシーンの再放送のように、智から目をそらせる理沙。 「私…お話しするの苦手で…。沈黙イヤじゃないですか?」 智は手を横に振る。 「いや、本来なら先輩の僕が話しなくちゃいけないんだろうし…。こっちこそごめんね」 「いえ!そんなこと!」 いかにもギクシャクした感じで歩みをすすめる2人。通りすがりの買い物袋を提げた40過ぎくらいの女性が何とも微笑ましいものを見るような目つきで2人を見ている。 もしも、麻美と二人で下校したらどのような感じになるのだろう。 ふと、そんな情景が頭の中に浮かんでしまったことを智は頭をニ度三度横に振って打ち消した。
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