第2章

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梅雨前線がその勢いを衰えさせてきたここ数日。それでも6月なんだから少しくらいは曇っていても良いものだと思うけれど、空は嫌味なくらい晴れ渡っていた。 今、智の目の前では、男女混合のバレーボールが開催されている。体育館には大勢の人間がごった返し、ボールを追いかけている出場生徒に声援を投げかけている。 そんな中、智は体育館の入り口付近で、誰にも気づかれることなく我がクラスの試合を眺めていた。 「松田君はもうすぐ試合?」 伸二が近寄ってきて声をかけてくる。ひどく偏見に満ちた感想だけど、体操服姿がここまで似合わない生徒も珍しいと智は思った。まあ、人の事は言えないけれど。 「まあ、そうだね。というか新山君はまだ試合中なんじゃないの?」 「僕みたいなやつは最初にちょろっと出て、すぐに交代だよ。ルール上全員が出ないといけないからね」 ふてくされているというよりは、この世の真理を悟ったような顔で伸二がそんなことを言う。正直智もその気持ちが分からないでもなかった。 「それにさ、こういう行事ってのは運動ができるできないは置いておいて、ああいうクラスの中心人物たちが輝く行事なんだよ」 伸二が指さした先、ちょうどその時に飛び上がった人物がいた。
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