第2章

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その長くて先までサラサラしている髪の毛を束ねた、いかにもスポーツ少女のような出で立ちの女。 遠山麻美がまるでトビウオのような跳躍力とスピード感でスパイクを打った。 そして、彼女によって放れたボールはそのままの勢いを保って相手コートにたたきつけられた瞬間大きな声援が上がる。 コート上では麻美と香織が誰をも惹きつけるようなキラキラした笑顔でハイタッチをした。 「まあ、それでもさ」 不意に智がつぶやく。 「誰かにいい所を見せたいって思うのは自然なことなんじゃないの?ほら、辻さんとか」 智が視線を別の場所に移す。それにつられて伸二も同じ行動を取る。 その先には別のコートで試合をしている自分のクラスに声援を送る麻由子の姿があった。 「そりゃあさ…見せられるものなら見せたいけど」 伸二が自分の首筋をポリポリと掻きながら少し困ったような表情を浮かべる。そして、どこか寂しげな表情を携えながら智の方を見やった。 「やっぱりさ、僕みたいなのが出しゃばっても良いことないって」 智は何も言えなかった。それに関しては自分自身も同じことを思っているからだ。 再び大きな声援が聞こえる。 二人してその声援の方に目を向けると、またしても得点を決めた麻美がクラスメイトと楽しそうにハイタッチをしていた。
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