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(え?まさかこのタイミング?)
(んなことどうでもいいわよ!なんであんたさっきから本気出してないわけ!?)
彼女の言葉が刺々しいのは今に始まったことではない。だけど今日の彼女の声にはいつもにない迫力のようなものがあった。
ズバン!
智が呑気に交信をしている間にももちろん試合は進む。相手ピッチャーが投げたボールはキャッチャーミットに気持ちのよい音を立てて収まる。
智は思わず打席から出て、改めてベンチの方に目をやった。
やや遠くの方で智に向けて視線を送っている麻美がいる。そのあまりにもまっすぐな視線に智は思わず目を逸らした。
しかし、智の頭の中には遠慮なく麻美の声が鳴り響いてくる。
(なんかイライラするのよ。真面目にやりなさいよ)
(いや、ちゃんとやってるだろ。現にヒットも1本打ってるんだからさ)
(知らないわよそんなこと!)
実際に話しているわけではないのだが、智は思わず首をすくめた。それほどまでに麻美の声には力が入っていた。
これまでの麻美との交信の中で、強い調子で罵倒されたりすることは多々あったが、今の彼女は明らかに今までとは調子が違う。智はもう一度麻美の方を見た。
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