第2章

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――麻由子に言われるがまま、智はもう一度保健室のベッドに身を預けるように横になる。 「新山君は?」 ふと、智がそう尋ねると、麻由子はやや顔を赤くしながら冷えタオルを用意してくれる。 「松田君が寝ている間に、自動販売機にジュースを買いに行ってくれました。保健の貝塚先生はもうすぐ戻られると思いますよ」 その言葉を聞いて、智はさっきまで自分が眠ってしまっていたことを思い出す。その間麻由子が自分のそばにいてくれたかと思うと、少しだけ申し訳ないような気分になった。 「ごめんね手を煩わせて」 智の言葉に麻由子はふんわりとした笑顔で冷えタオルを智のおでこに乗せた。 「それは全然気にしないでください。松田君とは知らない仲じゃないんですから」 ふと、昨年のことを智は思い出す。前述したが同じ委員会に所属していたとはいえほとんど話したこともない相手に対してここまで親切にできる麻由子に、智は少し感動を覚えると同時に、伸二のことがひどく羨ましくなった。 (やっと起きたんだ…) 痛みが残る頭の中に声が響いた。 智はびっくりしてガバッと身を起こす。いきなりのことに麻由子がギョッとした表情になった。
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