第2章

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「どうかしましたか?もしかして頭が痛むんですか?」 智は慌てて手と頭を横に振る。 「い、いや、なんでもない」 智はもう一度ベッドに身を預ける。そして、目を瞑りながら改めて頭の中の彼女に声をかけた。 (まだ繋がってるとは思わなかったよ) (あんたが寝ちゃうのがいけないんでしょ) いつもの憎まれ口には、しかしいつもの元気というか力がなかった。 (なんか元気なさそうだけど…どうかしたの?) (別に…なんでもないし) いくら智であっても、さすがにその言葉は嘘であるということはわかった。だけど、それを指摘することはできなかった。 元気のない彼女を今は元気付けてあげたい。智の心中はまさにそれだけだった。だけど悲しいかな彼にはそのスキルがなかった。 自然とおとずれるのは、沈黙だった。第三者から見ると頭の中で話しているのだから沈黙も何もないのだけれど、智にとってそれは少しだけ胃が痛い時間だった。 (そういえば打ち上げは…) (あのさ) と、ここで頭の中の彼らの言葉が重なった。こういうとき相手の表情を伺うことができないというのはコミュニケーションを図る上で非常に不便であると二人共が痛感する。 (打ち上げは私は行ってないよ) 先に麻美がそう答える。 (え?どうして?) (別に…なんとなくそんな気分じゃなかっただけ) (でも…遠山さんがいかないと打ち上げが盛り上がらなさそうだけど…) (私はあんたと違って人望があるの。ちゃんと理由話したら納得してくれたから) (でも、それ嘘なんだろ) (ああもう!うるさいな!そんなことどうでもいいの!) 不意に、麻美の声にいつもの力が戻ってきた。声を荒げられてこんなことを考えるのもどうかと思うと、いつもの彼女らしいなと智は少しだけ安心した。
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