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この日の交信は2人がちょうどベッドの上で寝る前のひと時を過ごしている時にやってきた。
(あのさ)
ベッドの上で天井を眺めながら智が脳内の麻美に問いかける。
(xが1のとき、xの2乗も1…。でも、その逆は成り立たないじゃない?どうしてわざわざそんなことを問題にする必要があるんだと思う?)
(はあ?)
麻美の声は刺々しかった。彼女はベッドの上で横になりながらいじっていたスマホを思わず手放した。
(いや、だからさ)
(別に聞こえなかったわけじゃないし。なんでそんなわけわかんないこと聞くわけ?)
(やっぱわからないよね)
智は少しだけホッとした。麻美は学年トップクラスの学力を誇っている。そんな彼女がわけがわからないと言っている以上、自分のような中途半端な学力しか持たない者にはきっと説明なんてできないだろうから。
(なんでそんなこと聞くのよ)と麻美。
(ちょっと後輩に聞かれたからさ)と智。
麻美は手に持っていたスマホをベッドの上に置く。
(それって、牧田さんっていう娘?)
(そうそう)
(ふーん。なんか相変わらず仲良さそうだね)
麻美は理沙の話になると、なぜかはわからないが妙に刺々しい感じになることを智は知っていた。慌てて話題を転換しようとする。
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