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「それじゃあさ、この後アイス食べに行きがてら夏休みの予定立てない?」
しかし、こういう急なところも常々勘弁して欲しいと思っている。もしもこういう時に自分に予定があって行けない時、なんだか変な空気になってしまうような気がするから。今日はたまたま生徒会の予定も入っていなかったため麻美は内心胸をなでおろした。
「そうだね。それじゃあ行こうか」麻美がにこやかに答える。
「男連中はみんな部活だけど、決めちゃってもいいよね」と、いたずらっぽい笑みを浮かべる香織。近くにいるもう一人の女子が同調するように白い歯を見せる。
「最近の男子って何するにも受け身だよね。結局いつも決めてるのって私たちじゃん」
麻美は、内心それは自分たちのわがままに男子連中を付き合わせてるだけなんじゃないかと思ったが、それを口に出すことはなかった。はっきりと自分の意見を述べることは時に自分の交友関係での立ち位置を揺るがすことになってしまうと彼女自身十分にわかっているからだ。
「もうすぐ夏休みだね」
そんなとき、不意に麻美の耳にそんな声が飛び込んできた。いや、飛び込んできたというよりも、麻美が無意識にそちらの方に耳を傾けていたから聞こえてきたと言ったほうがいいかもしれないが。
教室の後部、そこにいたのは智と伸二だった。
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