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(あのさ…)
しかし、安心したのもつかの間。またしても麻美の声のトーンが変わった。
智は無意識にゴクリと喉を鳴らす。麻美は自分自身を落ち着かせようと意図してベッドにもう一度身を預け、白い天井を見上げた。
(私んちの天井、鳥の大群が飛んでるんだけど、松田んちはどう?)
(は?)
あまりにも突拍子のない問いかけに、智は開口した。
(だから、私んちの天井が…)
(いや、それは聞こえてる)
(聞こえてるなら質問に答えなさいよ)
いつもと全く同じ棘のある声に、智は慌てて天井を見上げた。天井には確かに模様がある。しかし、鳥は飛んでいない。
(うちは飛んでないみたいだけど…)
(そうなんだ。でもさ、学校の天井って絶対鳥飛んでるよね)
(いや、そもそも…)
鳥ってなんなんだ。そう問いかけようとした瞬間、その日の交信の終了を告げる「プツン」という音が頭の中で鳴り響いた。
智はベッドに身を投じる。そして数秒間部屋の天井を眺めながらつぶやいた。
「まあ、確かに鳥に見えなくはない…のかな」
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