第2章 覚醒と恋煩い

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【 戸惑い 】 行く先にあるのは希望か絶望か… 要は戸惑い、葛藤する。 思いのままに接するべきか否か。 「…大丈夫、もうあの頃とは違います」 要は噛みしめるように葵に告げる。 「今は架南と蒼麻じゃない…」 生まれ変わったとしても、もう架南ではない。 もうこの世にはいないことはわかってる。 前とは違う。 「今、俺と葵さんは兄と妹じゃない」 すすり泣いていた葵が急に静かになった。 首筋に触れる葵の頬が熱を帯びるのを感じ、要は葵の肩を掴んで体を離す。 すると耳まで真っ赤になった葵と目が合った。 「…あ、あの」 葵はおどおどと視線を泳がせる。 「ど、どんな経緯でこうなっているのか…そのわからなくて」 さっきまであんなに青ざめていたのに、どんどん紅潮していく。 「とにかく、ごめんなさい!」 泳ぎまくる視線と慌てぶりに要は思わず吹き出す。 架南には見た事はない反応に意表をつかれ、我に返った葵に安心感を覚えたこともあり、気持ちが緩んだ。 「…いや、そう構えずに」 笑いを堪えながら要は葵から少し距離をとる。 「大した事はなかったので」 そんな要をぽかんとした顔で葵は見つめてくる。 「葵さん?」     
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