第1章 夢と恋情

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【 覚悟 】 要の通う高校は勤め先の図書館の近く 正門が見渡せる場所を探しウロウロすること1時間、やっと張り込み場所確保! (…よし!) ペットボトルを握りしめ気合いを入れてみるけれど、拭えない背徳感。 (これってストーカーになるのかな…) 高校生をストーカーってどうかしてる。 だけど、ちゃんと話したい。 確かめたい。 「ストーカー規制法、第2条第1項第1号にて現行犯逮捕」 聞いたような声がすぐ近くで聞こえたと思ったら、右手を鷲掴みにされた。 驚いて横を見やると、スーツ姿の男がニコニコして立っている。 髪は軽くオールバック、煙草をくわえ、垂れ下がった目尻… 「要は学校来てないよ」 そう言われてやっと気づく。 「祥吾さん?!」 ボサボサ頭と無精髭はどこに行ったのか、別人のような祥吾がいた。 「こんなところで何してるんですか?」 手を振り払えず葵は顔をしかめる。 「うわぁ、それは俺のセリフ」 祥吾はヘラヘラと笑う。 「君こそ、要の高校の前で張り込んでるじゃないか」 「要くんに用があるんです…」 図星を突かれ、葵は赤面する。 どうかしてるのはわかっているけど…     
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