第1章 夢と恋情

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「家とか知らないし、こうするしかなくて」 「会ってどうすんの?」 「確かめたいことがあるんです」 「どんなこと?」 「それより…」 葵は祥吾に掴まれたままの腕を上げ、拗ねたように睨み上げる。 「この手放してくださいっ」 「ああ、ごめんごめん。掴まえておかないとさ、ちゃんと話しもできないから、癖だよ、癖。君は昔から俺を見ると逃げるから」 手を離す気配もなく、祥吾は「あはは」と笑った。 (…昔から?) 「祥吾さん、もしかして…私と祥吾さんは前世で繋がりがあるんですか?」 繋がりがあるのなら、何か知っているのかもしれない。 「前世が気になる?」 そう聞かれて、ピンとこなかった。 前世が気になると言うより、気になるのは… だけどそれは前世が気になると言うことなのか?? 「…前世があるとしても、全部を知りたい訳ではなくて」 「都合のいい話だね」 おずおずと答える葵に、祥吾が言い放つ。 「知りたいことだけでいい、他は知りたくない。知りたいことだけ教えてぇ、ってさ」 祥吾の笑みが消えた。 「覚悟なく首をつっこまないほうがいいよ」 言いながら葵の手を放す。 「んじゃ、そう言うことで」 ヒラヒラと片手を振りながら祥吾が背を向ける。
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