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【 対敵 】
「かぁごめ、かごめ…」
中庭から花のような歌声が聞こえる。
「籠の中の鳥は、いついつ出やる」
子どもたちの笑い声が混じる、明るい陽だまり。
「夜明けの晩に、鶴と亀が滑った…」
海斗は渡り廊下で足を止め、中庭を見やる。
「後ろの正面だあれ?」
幼い子どもたちに混じり、今年10才になった少女が歌っている。
先日、総帥珠妃の命により海斗の許嫁に決まった少女だ。
総帥珠妃の娘、架南。
その様子を母屋の縁側に座り眺める少年と、膝の上には幼い女子。
少年が海斗に気づき、視線を投げてきた。
静かな湖面のような瞳。
海斗と目が合い、笑顔が消える。
まだ12才とは思えない落ち着きがある。
そして若干9才で強襲から母屋を守り抜いた能力者、蒼麻。
誰もが予想し得なかった結界の歪み。
突然の強襲に、結界に守られ自衛手段に欠けていた村人は簡単に惨虐された。
能力者たちは各々の判断で対撃、防衛、半数が兵数に敗け、首を狩られた。
戦闘において不慣れな者が多過ぎたのだ。
その中で、母屋に押し寄せた兵数をたった一人で…
水を操る能力者は少なくはない。
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