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思えば、その許嫁の顔より蒼麻の目つきが印象深く記憶に残った日だった。
12才の蒼麻はまだ可愛らしい顔つきだが、その瞳だけは今と変わらない。
蒼麻と初めて目が合ったあの瞬間、何かが決まったような気がした。
(あいつ…探してるのか…)
こんなことになり、動ける人材は要しかいない。
だが、狙いに気づいているなら、元聖地は捨てるべきだ。
葵の安全を考えれば、あの建物から出ないことが得策。
(…捨てろ、俺のことも)
だから、行かなくては。
祥吾はフラつきながら立ち上がる。
左脚は引きずれば何とか動ける。
左肩の脱臼に左腕骨折、あとは打撲か悪くてヒビが入っている程度。
思い通りになどさせてはいけない。
(刺し違えてでもやってやる)
祥吾は木々の幹に掴まりながらその間を進む。
(だから、来んなよ…蒼麻!)
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