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「どうでもいいけどね、あなたはそこに座らないで、あっちの奥のテーブルに一人で座ってちょうだい」
「えーっ」
満琉はやはりピリピリしている。
コーヒーを淹れる手つきがたどたどしくも見える。
赤面してる場合ではない…
「満琉さん、私が…」
葵はミルを挽く満琉の手に手を添える。
満琉の手はとても冷たかった。
「少し横になったらどうですか?」
「余計なお世話って言いたいところだけど、ちょっと座ろうかしら」
満琉は力なく微笑みカウンターを出た。
そのままソファに崩れるように座る。
かなり疲弊して見えた。
「ところでさ、今更なんすけど…何があったわけ??」
和希が葵と満琉を交互に見やり、戸惑いを浮かべる。
そういえば、要にはあっさり説明を省かれていた。
自分が説明していいものなのか、葵は少し躊躇う。
「…仲間がね、元聖域に向かったまま消息を絶ったのよ。ぐしゃぐしゃの車を残してね」
満琉が絞り出すような声を出す。
満琉が車の件を知っているのは意外だった。
てっきり要にだけ入った情報だと思い、満琉にはまだ伏せておきたい気持ちがあったのだ。
「大丈夫よ…もう取り乱したりしないから」
葵の表情で察したのか、満琉が切なく笑った。
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