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「西園寺の情報はイヤでも耳に入るの。祥吾、あれでも唯一の後継者でしょう。だから彼に何があった時は、養女でありここの責任者である私に情報がくるようになってるのよ」
「へー、西園寺スゲェ」
軽い口調で割って入る和希を満琉は睨みつける。
「もうほんとお陰様で取り乱す余裕もなくなったわ」
「イヤイヤそんな、お陰様だなんて」
アハハ、と和希が照れ笑う。
「褒めてないわよっ!」
満琉が冷ややかな声音で吐き捨てる。
葵は思わず笑ってしまいながら、淹れたてのコーヒーをカップに注ぐ。
きっと満琉と二人で待つだけだったら、こんな風に笑えなかったと思う。
きっと要はすぐに戻らない。
数時間で終わる事態ではないだろう。
気を張り続けていても駄目だ。
和希の持つ空気は良くも悪くも緊張感がない。
今はそれが助かる。
「はい、和希くん」
和希の前にコーヒーを差し出し、葵は満琉と自分のカップを手にソファへと向かう。
「…ども」
とても小さな声で和希が呟いて、カップを手にした。
「ありがとね、葵ちゃん」
満琉がカップを受け取り、口をつける。
「ほんとはカフェインとらずに眠って欲しいんですけど、眠れませんよね」
「あ、眠るって言えば」
満琉が何か閃いたように瞳を輝かせ、隣に座った葵の顔を覗きこんだ。
「気になってたんだけど、起きたら要がいなかった発言あったじゃない!あなたたち、一緒に眠ってるの?」
「は?え……」
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