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【 追跡 】
事故現場は元聖域からそれ程離れた場所ではなかった。
すでに現場検証が入り、捜査員の姿もある。
篠宮も祥吾も見つかってはいない。
要は木陰に身を隠し、様子を伺う。
下手に姿を見せる訳にはいかない…
(やるしかないか…)
要は片膝を落とし、地面に右手をつく。
目を閉じ、感覚を研ぎ澄ませた。
現場から半径1キロメートル、樹海の地面に含まれる水分、落ち葉につく朝露…
それらが教えてくれる、足跡の軌跡を。
現場検証や周辺の捜索で足跡は多い。
割り出すべきは、元聖域に向かう軌跡。
4時間程前に複数、3時間程前に一つ、左側の足跡が浅い。
(…手負い?)
どうやら祥吾か篠宮が元聖域に向かっている。
集中を解くと、一気に脱力感に襲われる。
要は乱れた呼吸を整える間も無く、元聖域に向かった。
木々の合間を駆け抜けながら、足跡を追う。
歩ける程度なら大した怪我ではないのか、足跡は確実に元聖域を目指している。
ふと、前方に人影が見えて、要は手頃な枝の上へと飛び乗った。
…二体、三体、当て所なく徘徊している。
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