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【 理由 】
それは突然のことだった。
外門が凄まじい爆音と共に砕け散った。
結界に守られた世界しか知らない人々は、驚きの中それを目にしてもなお、即座には理解できなかったのだ。
何が起きたか、これから何が起きるのか…
雪崩れ込む兵の数を目にしても。
「父ちゃんっ!…父ちゃん!!」
その中で、一番早く事態に対処した父。
「…陣、逃げろ」
燃え盛る家々、あちこちで上がる悲鳴、飛び散る血、血、血…
手首から先のない左腕を父が持ち上げる。
「塀の…外へ、逃げるんだ」
父の右腕は肩から先を無くしてる。
母は妹を抱えたまま死んだ。
「だ、大丈夫だっ、父ちゃん!兄ちゃんが、兄ちゃんが…」
父が、その能力を認めている兄。
優しく強い、兄が…
「兄ちゃんが助けに来てくれる!」
この事態を知れば、父を自分を、必ず助けに。
「…きくん、和希くん」
和希は名前を呼ばれ、我に帰る。
まず視覚からの場所把握と、状況認識。
そうだ、ここは現聖域…そして目の前には、日向 葵。
カウンターで一つ席を空け隣に座っている。
背後のソファには横になり眠る満琉。
「やべ…トリップしてた」
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