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和希はカウンターに肘をついて顔を両手で覆う。
「トリップ?…え?脱ぐの??」
年の割に童顔なその人物は、持ち前の天然さで首を傾げる。
「脱げっつーなら脱ぐけど…ストリップじゃなくて、トリップ!」
「それって、もしかして白昼夢みたいな?」
「おっ、それそれ」
前世での兄、蒼麻の恋君にして妹、架南の生まれ変わり。
(今は堂々と恋人か…)
かなり、色々、微妙な感じで複雑だ。
「覚醒間もないとあるんだってなー」
和希は背伸びをする。
「和希くんも覚醒したばかりなの?」
葵は元々目が大きいから目を丸くすると一層インパクトがある。
吸い込まれそうな輝きを放つ瞳。
瞳の大きさは前世と変わらない。
「…ああ、まーな。古参ではねぇよ」
「じゃあ、仲間だね」
ニッコリと屈託無く笑う顔。
(ここはぜんっぜん似てねー)
氷輪のごとく、美しさの中に冷たさが宿る、綺麗で卒のない人形のような顔立ちだった、あの女とは真逆の笑顔。
(見てると和むんだな、コレが)
あの男が惹かれるのもコレなのか…
架南の生まれ変わりなら、何だっていいのか、違うからこそいいのか。
「和希くん?」
「えあ?あ、ナニ?」
葵の顔を見たまま考えこんでしまっていたので、葵が訝しげにこちらを見ている。
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