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「また白昼夢かと思ったよ」
「葵ちゃんはさ、強襲の日の夢、見た?」
「…きょうしゅう?」
和希はイスを反転させ、葵へと向き直った。
「暁華が産まれた日の」
葵がハッとしてとたんに青ざめた。
「…見た、よ」
「あん時、あいつ…ずっと架南を守ってたんだよな」
葵はふいっと顔をそらす。
罪悪感からかと思ったが、その目はどこか寂しげだった。
「…うん、母屋をね、守ってくれたよ。だけど、途中までしか見てないからずっとかわからないなぁ」
「結界が復活して、事が治るまで、ずっーとあいつはあんたを守ったよ」
「そう…なんだ」
葵は複雑な横顔を見せる。
守られて喜びはしないのだろうか。
「…んで、オレらを見捨てた」
「えっ…?」
葵が驚いて顔を向けてきた。
「村から母屋へ続く門はオレの、陣の親父が守ってた。襲われりゃ前線で親父が戦うのを知ってて、助けに来なかったんだよっ、あいつは!」
葵に怒りをぶつけるつもりはなかった。
葵に罪はない。
それはわかっている。
「あいつは、そうやってオレらを見捨てて英雄になりやがったんだ」
和希はカウンターに拳を叩きつける。
葵はそれを見て眉をしかめたが、目をそらしはしなかった。
「それが蒼麻さんを憎む理由?」
ひどく静かに葵が問いかけてくる。
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