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それを見越して襲撃の準備はされているだろう。
元聖域は通常の時間の流れに取り込まれ、社も朽ちていく、そして…
「さぁ、選べ!前世か現世かっ」
暁華が苛立ちを見せる。
「…わかった。従えば、二人を返すか?」
「とりあえず、そうしよう」
それは嘘だろう。
暁華のことだ、ここで殺したいのだ、全てを。
暁華が何かを放り投げてきた。
それを受け取り、要は社へと踵を返す。
架南が死んだあの時…
自分の中で時間が止まった。
自分に残されたのは、架南の生まれ変わりを待つことだけ。
その思いから転生者の洗い出しから、血筋を探り、血筋を守る為に西園寺を作った。
それでも現れない、出会わない。
もしかすると、それは…
ここに遺したせいかと考えた時もあった。
そして、待つのをやめた。
要は社の扉に手をかける。
この扉に最後に触れたのは、5年前…もう触れることはないと決めたのだが…
(こんな形で再び開けることになるとは)
扉を開き、要は小さく微笑んだ。
「…ただいま、架南」
社の中に横たわる、少女の亡骸。
胸に置いた両手に一房の髪を握り…
あの時と寸分違わず変わらぬ姿で。
追憶の中に鮮やかに残る、愛しいその姿。
髪をその身から離せば、朽ち果てる。
「そして、お別れだ」
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