第7章 陽だまりの天使たち

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「外部からの出入口は店と裏口で2ヶ所、裏口はナンバーキーよ。裏口は5階まで階段があって、各階に防火扉で遮断できるわね。窓ガラスは全て防弾ガラス…ちなみに、ナンバーキーや防火扉の操作は6階でもできるわよ」 「何の要塞ですかね、ここは…」 カウンターの影から外の様子を窺いながら、和希が苦笑した。 「…でもまぁ籠城はできるよな」 ポツリと和希が呟いた、その時だった。 ビリビリっと下から上に微弱な電流が走るような、そんな衝撃が体を駆け抜けた。 視界が揺れて、ブレる。 「…っ」 そして、呼吸ができなくなった。 吸って吐く、今まで考えなくてもできていたことが、わからなくなった。 葵は喉元を押さえ、崩れ込む。 「葵ちゃん?!」 慌てた満琉の声がどこか遠い。 「なんだよっ、おい!」 和希が背中に手を置いている。 少し呼吸が楽になるのがわかった。 「結界が消えたのかも…」 「マジか…ヤバいだろ、それ」 「とりあえず、隣の部屋に」 満琉に言われ、和希が抱え上げてくれるのがわかった。 廊下に出る時、店の外が垣間見えた。 窓ガラスを埋め尽くすように、人が張り付いている。 無数の虚ろな瞳がこちらを見ていた。 「葵ちゃん、大丈夫?息できる?」 和希が葵をソファに下ろし、満琉が心配そうに声をかけてくる。 「…へい、き」 「平気じゃないでしょ、バカね」 呼吸の合間で返した言葉に満琉が嘆息する。 一瞬、息が止まるかと思った。     
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