221人が本棚に入れています
本棚に追加
/298ページ
だけれど多分これは一時的なもので、時間の経過で柔らぐのだろう。
浅く速いが、呼吸ができる。
「あー、マズイな。店の戸、普通の戸だよな…破られそう」
「そうね…上に退避しましょ」
「でさ、満琉さん、ちょっと」
和希がソファから離れた場所で満琉を手招く。
仕方無さそうに満琉が和希に近寄った時だった。
和希が満琉の腕を掴み、牢屋のある部屋へと押し込んだ。
満琉が何か叫んだようだったが、和希が即座に扉を閉め鍵をかけた。
「満琉さんっ!」
掠れた声しか出ないし、うまく体が動かない。
体を起こすと、目の前が眩んだ。
「よし、行くぞ」
足早に近づいてきた和希が葵の体を抱え上げる。
「…何するのっ?!」
抵抗するが、足にも手にも痺れが残り力が入らない。
和希は葵の抵抗を気にせずに、暖炉の間を出た。
最初のコメントを投稿しよう!