第7章 陽だまりの天使たち

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【 策謀 】 弱々しく炎を上げ、一瞬で髪は燃え尽きた。 結界内の圧力が変化し、空間が揺らぐ。 感覚が鋭い受容型であれば、かなりの負担が体を襲うだろう。 結界の効力が強い現聖域(スローネ)では、ここの比ではない。 葵と満琉は大丈夫だろうか… まず持って和希は何も感じないだろうが。 結界の消失を確認してから要は立ち上がる。 「さぁ、返して貰おうか」 愉しげに口元を歪め眺めている暁華に、要は鋭い眼光を向けた。 どうにか早目に決着をつけたい。 少しでも早く戻らなければ… 「まだだ…まだ足りぬ」 暁華は祥吾からまだ足を避けない。 強行して奪い返せるとしても祥吾のみ、篠宮の身体から暁華は簡単には剥がせない(・・・・・)。 京田理夏の前例から考えても、器となっている篠宮の身体にダメージを与えると意識が戻らなくなる可能性がある。 更に… 要は四方に視線を滑らせる。 全方位から闇人(やみびと)が虚ろに歩き、向かってきている。 (…よく揃えたものだ) ざっと見ても4~50人、動きにバラつきがあるが、標的は一箇所。 多少の打撃では動きは止まらない。     
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