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能力で闇を剥がすとしても、かなり厄介な数だ。
能力を消耗させることが暁華の狙いだろう。
(ならば、使うまで…)
要は右手を持ち上げ、最初に接触するであろう闇人に手のひらを向ける。
この地には水場がいくつもある。
溶岩層に湾から吹き込む風が湿度をもたらし、苔を育み、それらは湿度を溜め込み、水となる。
この地で水を呼ぶのは造作も無い。
要の靴の下から水蛇が首をもたげ、脚を這い上がり右腕へ、そして右手に同化する。
要まで2メートルの距離で闇人が飛びかかった。
頭に目掛け、要は水球を放つ。
頭を水球に囲まれた闇人が地面に転がり、のたうち回る。
次に襲いかかってきた者を蹴り倒しながら、後方へ水球を飛ばし、飛び込んできた闇人の肩に手をつき飛び越えた。
そのまま、後方回転で距離をとる。
闇人の反射神経は鈍い。
対象の急な方向転換に即座に対応できない。
その隙に、集める!
わらわらと向きを変える闇人の一人、二人と水球で頭を捉えてから右側前方への跳躍。
暁華と足元の祥吾を見やり確認してから、要は片膝を落とし、地面に右手をついた。
右手のひらのすぐ横で小さなすみれの花が揺れている。
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