第7章 陽だまりの天使たち

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能力で闇を剥がす(・・・)としても、かなり厄介な数だ。 能力(ちから)を消耗させることが暁華の狙いだろう。 (ならば、使うまで…) 要は右手を持ち上げ、最初に接触するであろう闇人(やみびと)に手のひらを向ける。 この地には水場がいくつもある。 溶岩層に湾から吹き込む風が湿度をもたらし、苔を育み、それらは湿度を溜め込み、水となる。 この地で水を呼ぶのは造作も無い。 要の靴の下から水蛇が首をもたげ、脚を這い上がり右腕へ、そして右手に同化する。 要まで2メートルの距離で闇人(やみびと)が飛びかかった。 頭に目掛け、要は水球を放つ。 頭を水球に囲まれた闇人(やみびと)が地面に転がり、のたうち回る。 次に襲いかかってきた者を蹴り倒しながら、後方へ水球を飛ばし、飛び込んできた闇人(やみびと)の肩に手をつき飛び越えた。 そのまま、後方回転で距離をとる。 闇人(やみびと)の反射神経は鈍い。 対象の急な方向転換に即座に対応できない。 その隙に、集める(・・・)! わらわらと向きを変える闇人(やみびと)の一人、二人と水球で頭を捉えてから右側前方への跳躍。 暁華と足元の祥吾を見やり確認してから、要は片膝を落とし、地面に右手をついた。 右手のひらのすぐ横で小さなすみれの花が揺れている。     
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