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【 決意 】
『思春期の反抗期を拗らせたと思えば』
寝物語に和希のことを要がそんな風に話していた。
眠る時はいつも要が後ろから抱き寄せてくれるから、そう言っていた時の要の顔はわからないけれど、葵には微笑ましく聞こえた。
実際和希がそうであっても、そうでなくても、要がそう思いたい気持ちがよくわかった。
だから葵もそういう目で和希を見ていたと思う。
「和希くん、何するの?!」
暖炉の間を出る和希の腕の中で葵はできる限りの抵抗を示す。
痺れる手を和希の顔に当てて腕を突っ張った。
「放してっ!下ろしてよ!!」
「ちょっ、待てって!」
落としそうになる葵を抱え直し、和希は非常階段の扉を目指す。
「暴れんなよ!!」
「満琉さん置いて行けない!」
足をばたつかせる葵に和希はふらついた。
「大人しくしろって!重てーんだよっ」
「重たいとか言わないで!要くんは軽いって言ってたもんっ!!」
「あんなバケモンと比べるんじゃねーよ!暴れんな!!」
「いいから、下ろしてよ!!」
葵は和希の耳を掴み、思いっきり引っ張った。
「いででっ!いてーよ!!」
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